◆初出場で大健闘の十勝選抜
十勝選抜が、初めて地元で行われた知事杯で躍動した。準決勝を含む3試合で井村峻己(帯七)、中西健一郎主将(下音更)、島勝優(札内東)の3投手が1点も与えない完璧な試合運び。中西主将は「守備から良いリズムをつくることができた。持ち味は出せたと思う」と振り返った。
最終日は準決勝と決勝のダブルヘッダー。投手は一日7回までの決まりで、準決勝で7イニングを投げたエース井村はリリーフでも出せない中で決勝へ。
釧路選抜先発の木村宙夢は全日本少年春季大会でベスト8入りした釧路鳥取西・山花の左腕エース。切れ味鋭い直球とスライダーの制球が良く、スローボールとの緩急も効果的で、十勝選抜は三回まで得点圏に走者を進められなかった。
反撃は四回。加藤晃輝(帯緑園)と楢舘理貴(帯翔陽)の3、4番が連打で好機をつくり、2死から加藤章太(帯四)が直球を引っ張りしぶとく三遊間を破った。加藤章は「どんな球でも食らいついて転がし、後ろにつなげるつもりだった」と気迫を強調した。リリーフの菅谷岳人(札内)と加藤晃も低めに球を集めて粘投。青砥裕幸監督も「緊急登板だったがよく頑張った」と健闘をねぎらった。
KWBボールは硬球に近い反発性を持つゴム球で、軟球より重く大きい硬球と同じ仕様だが、衝撃は硬球の3分の1と言われる。軟式の中体連の大半の大会が終わった7月初旬に結成。中西主将は「しっかりと振り切らないと飛ばない。投手戦になることも多いので守備も大切」と話す。合同練習や、東日本大会、交流大会で経験を重ねた。
9月中旬にも全道規模の大会が控える。今大会での戦いぶりに手応えを得た中西主将は「次こそ優勝を」と気合を込めた。
◆準決勝でノーヒットノーラン エース井村が快投
右腕エースの井村峻己が準決勝でノーヒットノーランの快投を演じた。180センチの長身から投げ下ろす球速130キロ前後の速球を軸に、外角でカウントを整え、追い込んでからのスライダーで面白いように三振を奪った。前評判が高かった根室打線相手に100球を投げ、被安打0、奪三振14。許した走者は四死球の2人と失策の1人だけ。1-0の完封勝利に花を添えた。
7月の全十勝中体連を制した帯七・帯清川の主戦投手。高校での硬球野球に備え、良い経験だという。「自分の場合、軟球に比べると変化球があまり曲がらない。甘くならないように、コースをより重視するようになった」と、強く意識したコントロールが光った。